同人誌はあらすじでアゲろ!!!

創作備忘録

これは以前はてなブログやnoteに掲載していた、「同人誌にはあらすじを付けて、作者と買い手のテンションをアゲろ!!!」という文章を練りなおしたものです。

あらすじの付いてる同人誌は最高

最近、友人の依頼で、マンガ同人誌の裏表紙に付けるあらすじを書く機会がありまして。

完成した本を見て思いました。あらすじの付いている同人誌は最高だなと。

友人のレイアウトが最高だったのもあるけど、身内の贔屓目さっぴいても、あらすじのある同人誌はイイんですよ。テンションがアガる。

思えばマンガ描きの友人に依頼されるまで、あらすじについて深く考えたことがなかった。

何故なら私は小説書きであり、今まで触れてきた商業の小説本には大抵あらすじが付いていたので、自作の小説本にもさして疑問を持たずあらすじを付けていた。

付けていたけど、マンガだと付けていない人も多いな?
裏表紙までイラストたっぷり派が多い気がする。

それはそれで、読み手としてはお得感あって嬉しい。だけども……

やっぱり個人的には、同人誌にあらすじがあるとテンションがアガるので!

今後も引き続き依頼されたら、より良いあらすじを提供して最高の同人誌を拝みたいなあと思い、自分のためにも「あらすじの書き方」をまとめておこうと思った次第です。

あわよくばコレを読んだ創作マンも、あらすじ付きの最高にアガる同人誌を出してくれ!!!

あらすじを付けるメリット

私が自分の本にあらすじをつけるのは、こんなメリットがあるからです。

▼読み手側のメリット

・本の内容、推しポイントが5秒でわかる。

作り手側のメリット

・手に取ってもらいやすさが格段に上がる
 └何故なら本の内容、推しポイントが5秒でわかるからだ!
・表紙やタイトルで伝えきれない細かな情報を追加でアピールできる。

じゃあ、「あらすじって何でできてるんですか?」というと。

Q.あらすじって何でできてるんですか?

A.基本的には、あなたが読者に知ってほしい情報を並べるだけで完成です。

でも、どうせならあらすじっぽい体裁を整えておくと、より効果的だと思う。

▼あらすじっぽい体裁とは

①「読み手」の
②「好奇心をそそる情報」を詰め込み
③「キャッチコピー」を添えて

ガツンと読み手のテンションをアゲる構成のこと。

ここで紹介するあらすじは、作品内容を適切に紹介するもの……ではなく、読み手のテンションをアゲることを目的とするものです。

即売会での買い物中、テンションが上がって、つい予定にない本を買ってしまった経験はありませんか?

あらすじで、そういう効果を狙いたい。

「読み手」を設定します。

たとえば「初夜BLを嗜む大学生」とか、「飯モノが好きな会社員」とか。

▼おすすめは「自分」を読み手にすること!

理由は、読み手の設定が詳細なほど、②の「好奇心をそそる情報」が選定しやすくなるから。

自分の好みを詰め込むだけでいいのでらくちん。

「好奇心をそそる情報」を選定して並べます。

基本的には「作品内容の説明+台詞」で構成するよう努めています。

作品内容の説明

例えば、こんな項目は「作品内容」と言えそうです。

▼舞台設定

時代はいつか、どこが舞台か、どんな世界観なのか……など。

明治幕末って単語だけで惹かれる人もいるだろう? 

お前!  そしてお前!  逃げるなそこのお前もだ!!

▼登場人物の属性

眼鏡、リーマン、学生、貧乏、重い過去あり……などなど。

「こういう設定持ちのキャラ好きだろ!?」ってのを読み手にアピールしよう。

▼ジャンルやキーワード

ジャンル:ギャグ、シリアス、伝奇、恋愛、推理etc.

キーワード:密室、すれ違い、メリバetc.

作品投稿サイトのタグをイメージしてもらうとわかりやすい。

こんな調子で作品内容の説明となる単語を並べたら、①で設定した読み手の好奇心をそそりそうな情報をピックアップして短文を作ります。

私は家系ホラー閉鎖的な田舎に根付く土着信仰って単語にめっちゃ弱いです。

文字数に制限はないけど、200字ちょっとくらいに収めると同人誌の裏表紙に配置しやすい気がする。

▼いろんな種類の情報をバランスよく配置する必要はない。

大切なのは、とにかく読み手に刺さりそうな情報をできるだけ高密度で詰め込こと!

キャラの紹介だけで埋め尽くしてもいいし、舞台設定を詳細に語って「そんな世界のお話」で締めたっていい。

「つまりどうするんだ~~?」ってところも方程式化できそうだけど、今は割愛。

短文ができたら、次は台詞!

台詞

読み手にとって引きになりそうな台詞を本文から抜粋します。

引きになりそうな台詞

この先の展開が気になる、もしくは読み手好みの展開を予感させる台詞のこと。

ポップな作品なら、「これから俺、どうなっちゃうんだ~!?」とか、「絶対ハッピーエンドにしてやるからな!」とか。

エロコメなら「脱がせる前に話を聞いてくれ!」とか、「お前の趣味に付き合えるのは俺くらいだよ」とか。

▼台詞選びに迷ったら

お気に入りの台詞をチョイスしよう

台詞の代わりにキャラの独白や詩なんかを入れても素敵。

短文と引きになりそうな台詞を組み合わせるだけでも、問題なくあらすじとして成立するとは思います。

しかし、余力があったら次も試してみてほしいんだ!!

「キャッチコピー」を添えます。

さて。作品の情報が出揃い、いい感じの台詞も本文からピックアップしました。

ここで読み手にトドメを刺す最後のダメ押し。ガツンと読み手のテンションをアゲて、本を手に取ってもらうには……

そう! キャッチコピーだ!!

ここでは少しの語彙音の数を数える力だけでキャッチコピーをなんとかしていきます。

良いコピーを書く教本は数多あるので、マジでやりたい人はそっちを参照してね!

前準備

ひとつ前のフェーズで「読み手の好奇心をそそる短文」を書いたと思います。

それのラスト1文につなげて、下記5種のリズムをそれぞれ口に出してみてください。

・57
・75
・337(拍子)
・575(俳句)
・57577(短歌)

上記以外にも組み合わせは存在します。慣れたら自分好みの音数を見つけてみてね。

いずれか口触りの良いリズムを1つ採用する。そのリズムに合わせて、キャッチコピーを作っていこう!

ここからは使うのは「少しの語彙」と「音の数を数える力」です。

少しの語彙

作品のテーマを端的に伝える単語を、できるだけたくさんリストアップします。

たとえば「桃太郎」なら……

・なかま
・たび
・もも
・おに
・きびだんご
・バトル
・わくわく
・あだうち
・ゆく
・かえる
etc…

こんな感じ。

「この単語本当に使うか?」とは考えない。
ここでやるべきは、できるだけたくさんの単語を並べることです。ブレスト気分で楽しんでくれ!

音の数を数える

単語のリストアップが終わったら、各単語の音の数を数えて単語の横にメモしていきます。

▼数えるときのポイント

・撥音(小さい「っ」)は数えない
・伸ばしは1音に数える
・拗音(きゃ、しゃ、にゃなど)は1音に数える

「ハッ/ピ/ー」は3音で、「にゃ/ん/にゃ/ん/カ/ー/ニ/バ/ル」は9音ですね。

とはいえ上記はあくまでも、音の数を数えやすくするための基準の一つ。

あなたが単語を口に出したとき「いや、にゃんにゃんカーニバルは6音でしょ」と思ったら、迷わず口触りのよい数え方を採用しましょう。

▼なんで数え方を変えていいの?

なぜなら、このキャッチコピーを合わせる短文や台詞を考えたのはあなただから。

それぞれの作家さんにそれぞれのリズムがあると思うので、深く考える必要はありません。理屈はあれど、結局最後は「納得できるいい感じになったかどうか」なのだ。

慣れてきたらメモ書きは必要なくなってきます。たくさんこなして効率化を図っていこう!

単語とリズムを組み合わせる

ここまできたら、あとひといき。

前準備で選んだリズム(57、75、575など)にハマるよう、音数を確認しながら単語を組み合わせます。

▼リズムは分割してもいい

例えば選んだリズムが「57」なら、5を2と3に分割して「2・3・7」にしてもOK。

組み合わせ方にも攻略法があるかもしれないが、そこまで解明できてない。とにかく口に出して試すのが一番早いような気がしています。

しっくりくる組み合わせに出会えたら、それがあなたの作品のキャッチコピーだ!

完成!

以上! 「好奇心をそそる情報(作品説明+台詞)」と「キャッチコピー」を組み合わせたら、あらすじの完成です!

同人誌の裏表紙に、イイ感じに配置してください!

作例

下記は自作の実例、友人のマンガ同人誌の裏表紙に載ってるやつです。

「このメソッドを使ってこんなキャッチコピーを作ったよ!」という参考までに。

例1)75

ラスト一文:言ってほしい★★★×言わなくてもほしい○○○○の

ハッピー(3)モダモダ(4)/ベッドタイム(5)

例2)575

ラスト一文:天才スポーツマンの


伸びしろは(5)/ベッドの(3)うえでも(4)/むげんだい(5)

特に難しい言葉は使ってないのに、リズムと音の数を守るだけでなんとなく「それっぽく」なる。

それっぽくなるとテンションが上がります!

詰まってしまったら

まずは焦らず、単語リストを倍に増やしてみましょう。それでもダメなら3倍だ。

それでもそれでもダメなら、手持ちの本や映画や漫画を机に全部積んで、ひたすらあらすじを読んでみてください。

自分の作りたいキャッチコピーに似てるやつはないか?  同じリズムを採用してるやつはないか?  プロの作品から似たやつを探してきて、構成を真似っこしましょう。

たとえば作例の「ハッピーモダモダベッドタイム」は、

ハッピー(作風)
モダモダ(登場人物の関係性)
ベッドタイム(メインの出来事)

という構成になっています。これを構成だけ真似っこすると

澱み(作風)
拗れて(登場人物の関係性)
すれちがい(メインの出来事)

…というキャッチコピーが作れるかもしれない。

繰り返しになりますが、キャッチコピー作成のポイントは、候補となる単語をできるだけたくさんリストアップすること。

たくさん集めれば、ひとつふたつは合致する単語が出てくるよ!  ファイトファイト!  頑張って数でどうにかしよ!!!   技術と知識は物理で補えることもある。

個人的TIPS

私は、キャッチコピーをあらすじのラストに置くことが多い。なぜならキャッチコピーの前に作品情報をあるていど提示しておくことで、キャッチコピーに使用する単語により濃く、限定的な意味を持たせることができるからだ!

例えばあらすじでプリンの話をしておいて、キャッチコピーに「甘い香り」って単語があったら、この「香り」って単語からはバニラの香りがしませんか?

そうやって単語の密度を高めるには、キャッチコピーの前にあらすじがあったほうが都合がいいなあと思っています。

逆に余計な情報を削ぎ落としたいときは、先にキャッチコピーを持ってくるのも手だと思う。お好みで。

最後に

自分用メモをいろいろ書いたけれど、あらすじは基本的にアピールなので、書き手が推したい情報を盛ればよいのだ。

副次的なメリットとして、プロット作成の最中に「これにあらすじを付けるなら?」と考える癖をつけるとテーマブレが防げる。

お話を作りながら、定期的にあらすじを考えてみよう。本案のストックもできるしね。

そういう感じで創作を頑張っていこうな!!

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